相続贈与遺言の中原会計
 

節税

相続と所得税の節税対策

相続人の生活事情にマッチした総合対策

「美田は子孫に残さず」という諺がありますが、やはりかわいい子ども達にはできるだけの財産を残してやりたいと思うのが親心です。しかし、中には「美田」が元で結局「悲田」になってしまう場合もあります。前もって対策を立てておくのが本当の親心といえるのではないでしょうか。そのためには相続した後のそれぞれの生活のことまで考えた総合的な「節税」が大切になってきます。自分は税理士さんに任せているから安心だと思っていると、専門家でも案外、相続の際の節税にだけとらわれて、大きな視点から相続後の節税まで見渡していない場合がありますから、ご自分の場合の一番有利な節税についてよく知っておかなければなりません。親心の伝わる「美田」こそ苦労の甲斐があるというものです。

 

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所得税の準確定申告

例年3月は所得税の確定申告のシーズンですが、皆さん、スムーズに申告を終えていらっしゃいますか?

「いいえ、毎年深刻ですよ。」なんて声も聞こえてきそうですね。

●準確定申告とは

相続が発生しますと、死亡の日から4ヶ月以内に、その法定相続人に当たる全員が連名で被相続人のその年分の所得税を計算し、所得税の確定申告を被相続人の納税地の所轄税務署に対して行なわなければなりません。(所得税法第16条・施行例263条)たとえば、アパート経営と農業を営んでおられたお父さんが610日に死亡されたとすると、お父さんのその年の11日から610日までの6ヶ月と10日分の所得を計算して、610日の4ヶ月後の1010日までに確定申告をしなければなりません。翌年の315日が申告期限ではないのです。これを『所得税の準確定申告』と称しています。そして、納付した所得税については、相続税の申告において相続財産の債務として控除ができるのです。

●申告の期限について

しかし、相続税の申告期限が10ヶ月後と定められているのに対して、準確定申告は4ヶ月後ですから、時間の余裕があまり無いということを知っておいていただきたいのです。

●専従者給与の発生する場合の届出

それから、お父さんの事業を引き継ぐ相続人が専従者給与を支給したい場合には、死亡後2月以内(但し、被相続人が青色のときは4月以内)に青色承認申請書と青色事業専従者給与に関する届出書を所轄の税務署に提出しておく必要があります。

 

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遺産分割案と所得税

相続税の申告期限までに必ず実行しておきたいのが、お父さんの遺産のうち、どの財産は誰が相続するかを決めてしまう遺産分割の手続きです。実際の手続きとしては遺産分割協議書の作成であり、遺言書の執行です。この際、どの相続人もそして税理士さんも相続財産の相続税評価を算出して、法定相続分等を考慮に入れながら分割案をまとめられます。

しかしながら私の場合は、相続税評価のほかに固定資産税・都市計画税、そしてその財産を運用して得られる年間所得を必ず考慮に入れた資産目録を作成して、相続人の皆さんに説明する方法を採っております。相続が発生するまでは相続税対策に最重点をおいてアドバイスをしておりますが、相続が発生してしまうと、相続後の各相続人の皆さんの資金繰りと生活費の捻出に毎年負担となるであろう、固定資産税と所得税の対策に重点が大転回してしまうのです。

ここにその一例を紹介しておきましょう。

■相続財産明細書(円満なる遺産分割協議のために)


種類 建物物件
所在地
用途 面積
(平方メートル)
相続税
評価額
(万円)

固定資産税
都市計画税(円)

年間所得
(円)
相続する人
A 土地 ○○町1丁目126番地 自宅 233 3,420  184,200 0  
B 建物

同上

自宅 140 162 36,400    
C 土地 ○○町2丁目34番地 2,000 18,000  18,000 300,000  
D 土地

同上35番地

1,500 13,500  13.,500 220,000  
E 土地 ○○町2丁目105番地 アパート1 620 5,270  237,100 850,000  
F 建物

同上

アパート1 330 1,850  449,200    
G 土地 ○○町3丁目16番地 マンション1 1,260 10,710  418,600 △3,660,000  
H 建物

同上

マンション1 982 8,250  2,003,500    
I 土地 ○○町3丁目18番地 アパート2 500 4,250  162,500 3,800,000  
J 建物

同上

アパート2 320 240  58,200    
   

合計

    (86,652) (4,781,200) (3,310,000)  

上記の表で、EFのアパート1GHのマンションは新築後の経過年数も浅く、まだ多額の借入金が残っており、当分所得は多く生じないでしょうが、IJのアパート2は借入金が無いため、年間所得は3,800,000円も計上されています。アパートやマンションを相続する人には、この物件に担保が設定されている借入金を承継していただかねばなりません。

●収入のない人の場合

収入の全く無い人が自宅のみを相続しても毎年の固定資産税が納付できませんので、別途に預金を相続するか、他の人に扶養してもらうことが条件となりましょう。

●給与所得者の場合

相続人である長男が現在50才位で会社や役所に勤務され、相当高額な給与所得を得ていらっしゃるとしたら、GHのマンションでは所得がマイナスですから、これを相続されると翌年からの所得税の確定申告では損益通算をして所得税が還付されたり、住民税を軽減することが期待できます。

●相続税を延納する場合

相続税を延納しようと考えている人は、IJのアパート○2のような借入金が無く、手取り収入の大きな収益物件を相続されると好都合でしょう。

●専業主婦の場合

他家に嫁いで目下、専業主婦の長女がE,Fのアパート1を相続したとするとどうなるでしょうか?年間所得が850,000円生じます。すると、現在はご主人の扶養家族として扱われていても、年間所得が38万円を超えると配偶者控除は受けられなくなりますので、ご主人の税負担がアップしてしまいます。また、ご主人の会社の内規により、家族手当が減額されたり、健康保険の扶養家族から除外されてしまう場合も起こるでしょう。そこで、長女はどの財産を相続するべきか、相続税以外の税金にも配慮して遺産分割協議に臨まねばなりません。

■いまからでもできる相続後の所得税の節税

日本の所得税は累進税率になっていますので、相続の時こそ、絶好の所得分散を図るチャンスの時なのです。多額の所得を現在稼得されているご長男がお父さんの残された遺産から生ずる多額の所得を相続されると、所得税と住民税の適用税率の上昇で可処分所得は家族単位で考えると逆に減少してしまうかも知れません。そこで、お父さんの 生前中に長男の妻や孫と養子縁組をして、所得の多い財産こそ、妻や孫に相続させることによって理想的な所得分散、即ち、所得税の節税を図るのです。

ぜひ、ご検討下さい。

 

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相続財産の譲渡

親の財産を相続した後に、その財産の一部である土地をやむ得ず譲渡するケースは多くあります。ご先祖様には申し訳ないのですが、現在の情勢下においてはやむを得ない事情がいろいろあります。土地を売却したいのですから当然にして譲渡所得税がかかってまいります。

しかし、相続した土地を相続税の申告期限から3年以内に売却した場合には、売却した相続人の負担された相続税のうち一定額が取得費に加算されるため、譲渡所得税が軽減されます。(租税特別措置法39-1借例25の4)

取得費に加算される相続税額 相続財産を売却した人の相続税額 ×

売却した人が相続した土地の相続税評価額


売却した人が相続した総財産の相続税評価額(債務控除前)

 

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財産を考慮した減価償却

●定率法で償却した例

70才で貸家を建てられた農家のお父さんは定率法で償却を続けられ、80才でお亡くなりになるまで、所得税は毎年0円であり、とても満足していっらっしゃいました。この物件を相続された長男は相続時50歳でした。大きな会社の部長さんで年収1,500万円です。

お父さんが生前10年間も定率法で償却されてきているので、相続時の帳簿価格(未償却残高)はとても少なくなっていますし、年間の借入金利子も減少して、経費がとても少ないのです。

しかし、手取り収入の2倍もの所得が発生して、長男の所得税の追徴額は毎年大変です。現在長男は「父が定額法で償却して、毎年5万円位の所得税を納めていてくれたら…。」ととても嘆いておられるのです。長男が定年退職される時まで、お父さんが生存されていたのなら、長男の負担される所得税はそれ程大変ではなかったでしょうに。

 

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