相続贈与遺言の中原会計
 

遺産分割と遺言

もはや他人事ではない争族!!

近年、マスオさん人気が高まってきているようです。
根強い人気を誇る国民的マンガ「サザエさん」に登場するサザエさんの夫のことなのですが、不況で所得が伸びないために2世帯住宅が増える中、娘夫婦と同居するこの形が理想的な家庭と考える人が増えてきているようです。
戦後60年余、法律的には兄弟姉妹のすべてが平等の均分相続の制度になったとはいえ、まだまだ「長男が家の跡とり」との根強い風習が踏襲されています。
今日の相続は、世間の風習と法律上の制度とのギャップや世代間の価値観の相違の間で大変難しい時代を迎えているといえます。早めの相続対策とそれぞれのご家族の英知と冷静なご判断で真の幸せを希求していただきたいものです。
(1)戦前の家督相続
戦前の民法では、相続については「家名」の継承を重視した「家督相続」の制度が定められていました。
一般的には長男が戸主となって家を継ぎ、親の財産のすべてを長男が相続をするかわりに長男夫婦は年老いた両親を扶養しつつ先祖を祀り、親戚や近隣とのつき合いを全うする義務を負ってきたのです。そして、二男や三男は婚姻時に分家と称して応分の生前贈与を受けておりました。また他家へ嫁ぐ長女や二女に対しては嫁入り支度として応分の生前贈与が親から与えられてきました。また「隠居」と称して生前に子供に家督や財産を贈与して後見するというような制度もあったのです。
(2)戦後の法定相続
ところが戦後、昭和21年11月3日に現行の日本国憲法が公布されことに伴い、昭和23年に民法上の相続の制度が改められ、アメリカの家族制度の風習が採り入れられました。すなわち、封建的な家督相続の制度を放棄して、夫婦単位の家庭を尊重する「法定相続」の制度となったのです。
この制度は、ご主人が死亡した場合、まずその配偶者である妻のその後の生活を保障するために1/2以上の法定相続分を与え、残りを子供達に等分に相続させるもので、長男と二男は平等でありますし、また男性と女性も平等であるわけです。
そして何よりも重要な事項は法定相続人の全員が実印を添印しないことには故人の財産の名義を変更できなくなったことでしょう。
(3)世代間の意識の差と税の現状
財産を残して亡くなる立場の父や母(被相続人)は、戦前の家督相続の制度下で学校の教育や家庭のしつけを受けておられます。しかし財産を相続する立場のその子供達(相続人)は現行の法定相続の制度の下で男女平等の教育を受け、現実にアメリカ流の夫婦単位の核家族的な家庭生活を営んでいらっしゃいます。
そのうえ、土地の価格が戦前とは全く比較できないくらいに高騰を続け、この土地を保有し続けるために負担させられる固定資産税や相続税は大変に過重になっております。
また、たとえ法律上の制度が変わったとしても、人の意識や地域での昔からの風習を変えるには相当の歳月を要するものです。
4)どこの家庭にもある「争族」の潜在性
たとえば、地方の農家で生まれ育ち家業を手伝いながら地元の零細企業で働いてきた長男と、東京の大学へ進学し東京の有名企業で働きながら都会生活を送り四大卒の才媛と結婚した二男。二人の価値観や意識の間には相当のギャップが生じてしまうのはむしろ当然のことでしょう。
また、最近では結婚をしない若者が増えております。長男夫婦は親とは別居生活をし、姉は40才を過ぎても独身生活をエンジョイしつつ、両親の家で同居を続けているというような事も増えてきました。
「親の財産なんて何も欲しくない。むしろ自由が欲しい。」と言っていた20代の独身時代と違い、相続の時は長兄が60才、一番下の二女が45才、その間に3人の兄弟姉妹があるというのが、今日の普通の相続人像です。この世代は家計のやり繰りも一番辛い時期でもあり、そして一番お金の欲しい時期なのです。今日の不況下でリストラ候補の人もいるでしょうし、連帯保証人になったばかりに大変苦境に立っている人もいることでしょう。
兄弟姉妹で遺産分割の話し合いを重ねる都度、不幸な方向へ行き、配偶者の意向も反映されて、やがては「争族」へとエスカレートしてしまうケースも多いのです。
(5)争族になりやすいケース
1. 子供が居ない(配偶者の外に両親や兄弟姉妹が法定相続人として加わってくるからです)

2. 離婚、再婚、先妻の子や養子が存在する

3. 愛人との間に子供がある

4. 未婚者で一人暮らし

5. 法定相続人の中に行方不明者や海外移住者がある

6. 法定相続人の間で学歴や貧富の差が大きい

7. 相続財産の中に不動産が多い割に収益や預金が少なかったり、債務が多い

8. つき合いの薄い法定相続人がいる

9. 親孝行の相続人と親不孝の相続人とが混在している

10. 相続人のなかに信頼を集められるリーダーが不在

11. 自分本位で欲張りな相続人やその配偶者が存在する

12. 家業の後継者が準備されていない

13. 兄弟姉妹のうち誰かが親より先に既に死亡し、未成年者である代襲相続人がいる

 金銭的にも精神的にも無駄な「争族税」を払うことのないよう、あらかじめいろいろなことを勉強して、その予防対策を実践しておくことが肝要です。

 

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